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小林 泰彦; 舟山 知夫; 和田 成一*; 田口 光正; 渡辺 宏
Radiation Research, 161(1), p.90 - 91, 2004/01
低線量放射線の生物影響、特に低フルエンス・低フルエンス率の高LET重イオン(粒子線)による影響を明らかにするためには、マイクロビームを用いた細胞照射実験が有効な手段となる。そこで、高エネルギー重イオンマイクロビームを顕微鏡観察下の生物試料に照射するために原研・高崎研・バイオ技術研究室で開発した細胞局部照射装置を用いて、哺乳動物培養細胞を個別に重イオンで照射・観察する実験系を開発した。標的細胞を貫通したイオンのエネルギーと個数をシンチレータ/フォトマルを用いて測定することによって、重イオンを1個ずつカウントしながら正確に照射することが可能となった。さらに、CR-39を直ちに37Cでエッチングして各標的細胞における実際のイオン飛跡を可視化すると同時に、その飛跡が可視化されたCR-39上で細胞の照射後培養と観察を継続する方法を確立した。
小林 泰彦; 舟山 知夫; 和田 成一; 田口 光正; 渡辺 宏
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 210(1-4), p.308 - 311, 2003/09
重イオンマイクロビームは、放射線の生物作用研究のための新しいツールとして極めて有望である。原研・高崎研では、銀河宇宙線のような極低フルエンス高LET重粒子線の生物影響の解明、特にトラック構造の局所的エネルギー付与分布による影響をダイレクトに解析することを目指して、サイクロトロンから得られる比較的高エネルギーの重イオンマイクロビームを用いて哺乳動物培養細胞を個別に照射・観察する実験系を開発した。その結果、ArやNeなどの重イオン1個のヒットで細胞の増殖が強く抑制されることを見いだした。
小林 泰彦; 舟山 知夫
Isotope News, (590), p.2 - 7, 2003/06
マイクロビームによる局部照射は放射線の生物作用研究のための新しいツールとして極めて有望と考えられる。1個のイオン、特にネオンやアルゴンのような重イオンを1個、細胞に狙い撃ちして照射すると細胞がどうなるか。プロトンあるいはヘリウムイオンのような軽イオンの場合と異なり、重イオン1個のヒットで細胞は完全に不活化することが最近明らかになった。原研などで現在進行中であり、世界の各地でも計画が目白押しのマイクロビーム細胞照射実験について、その歴史と現状を概説するとともに、イオン1個のヒットが細胞に引き起こす現象について最近の成果を紹介する。
小林 泰彦
放射線生物研究, 37(1), p.67 - 84, 2002/03
マイクロビームによる局部照射は、放射線の生物作用研究のための新しいツールとして極めて有望である。原研・高崎研では、銀河宇宙線のような極低フルエンス高LET重粒子線の生物影響の解明、特にトラック構造の局所的エネルギー付与分布による影響をダイレクトに解析することを目指して、サイクロトロンから得られる比較的高エネルギーの重イオンを用いたマイクロビーム細胞照射実験系の開発に取り組んでおり、最近、ArイオンやNeイオンによるCHO-K1細胞の核への照射実験を開始した。マイクロビームによる細胞局部照射実験について、過去の数々の試みの歴史を紹介するとともに、特に粒子線マイクロビームを用いた最新の研究状況について述べる。